金属アレルギーについて

最近、菊池新先生の『Dr.菊池の金属アレルギー診断室』という御本を拝読して、金属アレルギーが全身(の皮膚)に及ぼす影響の重大さについて再認識しています。

そこで、本年1月から10月までに当院で行った金属アレルギー検査(金属パッチテスト)結果についてまとめてみました。

検査を受けた方のきっかけは、

①歯科医院からの御紹介が11例、

②皮膚疾患の原因検査が9例、

③結婚指輪や今後のアクセサリー購入のため、が4例、

④その他、ご本人希望が2例

の合計26例でした。

検査を受けた方の皮膚疾患としては、難治な手足の皮膚病(掌蹠膿疱症と汗疱)5例、全身の原因不明の湿疹・蕁麻疹2例、口唇・口腔内のトラブル(口腔扁平苔癬含む)4例、アトピー性皮膚炎3例でした。

陽性金属の頻度のランキングは、

第1位、コバルト、ニッケルともに6名で陽性

第2位、パラジウム5名

第3位、クロム、プラチナともに4名

第4位、スズ、水銀ともに3名

第5位、亜鉛2名

第6位、金、鉄ともに1名

成書では、日本人では、ニッケル、クロム、 コバルトの陽性率が高いことが記載されており、今回の検討でも同様な傾向がありました。陽性の判定に際しては、金属試薬の中には刺激反応がおきやすいもの (スズ,亜鉛,白金,イリジウム)があるため、本当にアレルギー性かどうか複数回判定し、厳密に行いました。

アトピー性皮膚炎の患者さんでは、いずれもアトピーの血液検査異常(TARCや総IgE、ハウスダスト、ダニに対する抗体価)が低い~正常範囲内の方のみを対象に金属パッチテストを行いました。その結果、いずれも複数の金属(ニッケル、コバルト他)に陽性所見をみとめ、最近、言われている内因性アトピー性皮膚炎と いう概念に合致するようでした。患者さんの中には、陽性となった金属を含む歯科補綴物を除去した方がおられました。皮疹はまだ完治していませんが、ニッケ ル、クロムは食品の中にも多く含まれることから、食事指導も併用して今後、改善の期待をもって経過観察していきたいと思います。

アクセサリー購入目的の方での検討
今まで、ピアスや指輪などのアクセサリーでかぶれたことがある方で、今後結婚指輪を購入するために検査を希望された方々は、やはり全例でニッケル、パラジウム、プラチナ他で陽性所見がありました。アクセサリーでのプラチナ(Pt900、Pt950)やカラーゴールドでは割り金としてパラジウムを含むので、パラジウムで陽性の方はその点を考慮するようアドバイスしました。

感じたこと
原因不明で難治性の皮膚疾患 の方では、金属アレルギーのある方や、歯周病や虫歯など口腔内の疾患を合併した方が多い印象があります。皮膚トラブルを治療していくうえで口腔内の健康、 そのために歯科の先生との連携がとても大切であると感じます。早速、相田能輝先生の『医者は口を診ない、歯医者は口しか診ない 医科歯科連携で医療は大きく変わる』という御本を見つけ、興味深く拝読した次第です。これからの診療に生かしていきたいと思います。

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