小児期のアトピー性皮膚炎

小児期のアトピー性皮膚炎 の特徴

im_illust001アトピー性皮膚炎は乳児の頬のじゅくじゅくした湿疹からはじまり、幼児、年長児~思春期にかけて特徴的な皮膚症状が現れます。多くの子供は成長とともに症状がおさまり、軽快してくることが一般的ですが、青年期まで遷延することも稀ではありません。それぞれの年齢に、適切な治療介入をしていくことによって悪化の防止、自然緩解が期待できます。

アトピーとアレルギーの関係

子供がアトピー性皮膚炎と診断されると、アレルギーが原因では、と過度に心配してしまいがちです。乳児の中には確かに食物アレルギーと体の皮膚炎が結びついていることがあります。皮膚科医であれば皮疹の分布や経過からアレルギーが潜んでいるかどうか、だいたい検討がつくものです。アトピー性皮膚炎の原因は多岐におよび、アレルギーよりも体質的に皮膚のバリア機能が脆弱なことが関係しています。特に年少児ほど皮膚が未熟で脆弱なため、乾燥や湿気などの環境要因、頬や口の周りのような食べ物やよだれの接触源、おむつや首のシワの間ように汚れや擦れが生じやすいなどの外的要因で、容易に皮膚炎が生じます。皮膚炎の部位は異物に対するバリア機能が悪いため、皮膚にくっついた異物(アレルゲン)に反応するようになってしまうこと、つまり皮膚炎から食物アレルギーが発症するという説が有力になっています。

乳幼児のアトピー対策

上述のように、、乳幼児の皮膚はとてもデリケートで、すぐ皮膚炎を生じます。皮膚炎によって経皮的にアレルギーが発症していくことを予防するために、早期に適切な皮膚炎の治療と、再発予防を地道に続けていく結果、成長とともに皮膚が丈夫になって、緩解していくようにはたらきかけていきます。

小児期のアトピー治療において大切なこと

赤ちゃんのできるだけ早期からしっかりとしたスキンケア、薬物治療をすることで、湿疹を鎮静化させ、バリア機能を回復させることが重要と考えて診療にあたっています。治療のポイントは、皮膚炎の早期修復と悪化因子の予防を、成長して皮膚が丈夫になるまで(バリア機能が発達するまで)、おうちの方とお子さんを一緒に見守りつつ行っていくことが大切です。

薬物療法が必要な理由

皮膚炎を起こしている皮膚には、血液中から炎症細胞が集まっています。皮膚炎が長引くと皮膚がごわごわと厚くなっているように感じるのはそのせいです。皮膚に集まってきた細胞からは炎症性サイトカインという、さらに炎症を引き起こす物質がたくさん産生されています。つまり炎症が炎症を引き起こす状態になってるため、いつまでたっても皮膚炎が治りません。また、炎症のある皮膚では、皮膚のバリア機能は破たんし、水分の蒸発が多くなり、バイキンやアレルゲンの侵入を許してしまうため、皮膚の乾燥の悪化でかゆくなり、感染症やアレルギー性炎症の合併が生じやすくなるのです。以上のサイクルを食い止めるために薬物療法が必要となります。

薬物療法の主体はステロイド剤ですが、ステロイド剤への漠然とした不安のある方もおられると思います。ステロイドホルモンは、副腎皮質という臓器で人体が自然に産生しているホルモンの構造を再現して作製した薬物です。皮膚科医が通常の使用法を指導しているかぎり、薬の吸収によるホルモンとしての全身性副作用はほとんど心配ありません。ただし、長期使用により、皮膚局所の副作用(皮膚が薄くなったり、毛包炎がおきたり、多くは使用しなくなれば元にもどる)はおこり得るため、定期的な診察でチェックして、体の部位別に薬の強さや量を変えたりして使用方法を適宜工夫していきます。
アトピー性皮膚炎では、薬を塗らなくなるとまた元にもどるため、ずっとステロイド剤を使用しなければならないのか、という心配もあると思います。しかし、一旦、炎症を改善させて、そこから必要最低限に上手く減らしていく方法があり、治療の継続によって確実に減らしていけるものです。また、とくに子供では炎症がない状態が続くことで皮膚は自然に丈夫になって(バリアが復活して)くるので、早めに炎症をなくしてあげることが肝要です。ステロイド剤以外では炎症の鎮静化のためにプロトピックという薬剤も非常に有効です。

PAGE TOP